性売買から離れて、生きていくために――スウェーデンと韓国で見た脱性売買支援

『地平』10月号の連載「歌舞伎町で。」が無料公開されました。歌舞伎町で今起きていること、韓国と日本の性売買経験当事者たちが語り合ったこと、そして性売買から離れた後の人生を生きていくために何が必要なのかを書きました。9月には日本の当事者たちとスウェーデンを訪れ、脱性売買支援について調査してきました。10月4日の緊急オンラインシンポジウムでは、韓国とスウェーデンで学んだことを報告します。
仁藤夢乃 2026.10.02
誰でも

今、路上での女性や少女たちの取り締まりが強まるなか、女性たちは路上から見えなくなり、ホテルの中に待機させられ、男性や少年に監視・管理されながら客を取らされるようになっています。

傷つき、疲れ切り、「もう疲れた」と話す少女たちを目の前にしても、そこから安全に離れ、その後の生活まで保障する仕組みが日本にはありません。

7月に行った、韓国の性売買経験当事者ネットワーク「ムンチ」と日本の「灯火」による合同ワークショップについても書きました。

日韓の性売買経験当事者たちのワークショップで。

日韓の性売買経験当事者たちのワークショップで。

国も言葉も、生きてきた時代も違う女性たちが経験を語り合うなかで、「私の経験が私だけのものではない」「構造が同じだから経験も同じなんだ」と話していたことが、とても印象に残っています。

性売買から離れるということは、その場から離れることだけではありません。

安心して眠れる場所があり、食べるものがあり、追ってくる人から守られ、自分の身体を売らなくても暮らせること。傷ついた心と身体を休ませ、自分を責めつづけなくてもよくなること。そして、人を信じ、一緒に泣いたり笑ったりしながら、自分の人生を生きられるようになること。

今、歌舞伎町で出会っている少女たちの姿と、性売買を経験した女性たちがその後の人生を生きていくために何が必要なのかを書きました。

『地平』10月号「歌舞伎町で。」
「性売買から離れて、生きていくために」
https://chihei.net/?p=8915

当事者たちでスウェーデンへ行ってきました

9月22日から28日まで、日本で性売買を経験した当事者5名でスウェーデンを訪れました。

スウェーデンでは1999年から、性を買う側を処罰し、売る側を処罰しない法律が施行されています。

今回訪ねたのは、性売買や性的搾取を経験する女性や若者を支援する団体、当事者団体、女性運動、警察、性売買から離れようとする人を支援する公的機関、そして、この法律ができるまでの女性運動に関わってきた人たちです。

それぞれの立場から、法律ができた経緯、その後の社会の変化、現在の性売買の状況、そして性売買を経験する人への支援について話を聞きました。

特に印象に残ったことの一つが、警察の取り組みでした。

ストックホルム市警察の性売買を担当するチームにも話を聞きましたが、担当者は、自分たちの仕事の多くは女性たちへのアウトリーチだと話していました。

買春者を捕まえることだけが仕事なのではなく、性売買の場にいる女性たちに繰り返し会いに行き、話をし、困ったときに連絡できる関係をつくる。

「何より大切なのは信頼関係をつくること」という話を、警察から聞いたことは大きな驚きでした。

また、若者へのオンラインアウトリーチを行う団体、性売買から離れたい女性に長期的な支援を行う団体、当事者団体などにも話を聞きました。

そこで当然のこととして語られていたのは、性売買をしている人を「問題のある人」として見るのではなく、その人に何が起きてきたのか、なぜその状況に置かれているのかを考えるということでした。日本では、それを理解する人を増やすことにとても苦労しています。

そして、性売買から離れることを本人だけの責任にしないこと。

住まい、生活、医療、心身の回復、安全の確保など、その後の生活を支えることまで含めて国家の責任と考えられていました。トラウマケアや専門家による心理的な支援も出会った当事者たちがほとんど利用していました。すべて無料です。

性売買をジェンダー暴力と捉え、「売る側を処罰しない」と決めた社会が、性売買のなかにいる人たちをどのように支えようとしているのかまで、日本で共有していきたいと思っています。

10月4日、韓国とスウェーデンの脱性売買支援について報告します

10月4日(日)19時から、緊急オンラインシンポジウム「ストップ性売買! 法務省『売買春に係る規制の在り方検討会』報告書を読む」が開催されます。

私は、今回のスウェーデン調査と、これまで調査してきた韓国の取り組みをもとに、「韓国とスウェーデンの脱性売買支援」について報告します。

日本で、性売買から離れたいと思ったときに、本当に離れることができるためには何が必要なのか。

女性たちを取り締まり、罰するのではなく、安心して暮らせる住まいや生活、心身の回復、そしてその後の人生を支えるために、どのような制度と支援が必要なのか。

今回スウェーデンで聞いた当事者や支援者たちの声も紹介しながら、考えたいと思います。

■10月4日(日)19:00〜21:00
■オンライン(Zoom)/後日配信あり
■お申し込み
https://peatix.com/event/5187634

ぜひご参加ください。

***

▽少女たちを追い詰める社会構造を変えるため、1日35円~活動を支えてください

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https://colabo-official.net/lp/donation.html

▽差別と暴力に抗う女性たちの活動拠点「女性人権センター」を市民の手で

性搾取の深刻な街、新宿・歌舞伎町に建設を目指しています。
https://colabo-official.net/projects/colabo_center.html

性売買の問題について、これからも現場で見てきたことや、女性たちの声を書いていきます。 よろしければ、無料の読者登録をして読んでいただけたら嬉しいです。

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