戦争と性搾取は表裏一体。憲法の理念を実現するのは、私たち。-憲法大集会2026スピーチ全文

5月3日の憲法集会で、メインスピーチを行いました。戦争と性暴力はどのようにつながっているのか。なぜ戦争で性暴力が起きるのか、お話ししました。運動の中でも、女性の人権、とくに性搾取の問題は、後回しにされてきました。平和はただ戦争がないだけでなく、ジェンダー不平等や差別がなくなってこそ実現します。女性や子どもに対する暴力が許容される社会は戦争に近づきます。スピーチの文字お越しを共有します。
仁藤夢乃 2026.05.05
誰でも

私は虐待や性搾取の中にいる少女を支える活動をしています。

戦争が起きるとき、

最も手軽な支配の手段として使われるのは、性暴力です。

日本は戦時中、アジア各地や沖縄で、女性たちを「慰安婦」として性奴隷にしました。

戦後も、女性の身体を「防波堤」として利用し、それが現代の性売買の合法化にもつながっています。

戦争と性搾取は、表裏一体です。

人の身体を支配し、消費するものです。

今でも、日本では、性売買は「社会の問題」ではなく、「個人の責任」として扱われています。

売る側だけが責められ、買う側の暴力は見えなくさせられています。

なぜ戦争で性暴力が起きるのか。

人を、尊厳のある一人として扱わない社会がつくられるからです。

女や子どもは、支配していい存在だとみなされるからです。

それは、戦争によって突然始まるのではありません。

今も、行き場を失った少女たちに声をかけるのは、性搾取を目的とした人や業者ばかりです。私たちは、15年、それに抗う活動を続けてきました。そのため、殺害予告やレイプ予告など、あらゆる攻撃にさらされ続けてます。女性に対する暴力は、今も支配の手段として使われているのです。

私たちが攻撃されるのはいつも、権力者たちに不都合な真実を語るときです。

2022年に女性支援法が成立した直後、その攻撃は最もひどくなり、政党を超えた複数の議員も加担しました。あろうことか行政は、攻撃を理由に「危ないから」と支援から手を引きました。少女たちを、危険のさなかに、置き去りにしたのです。

これは、ただ一団体への攻撃ではありません。

私は今、戦前に女性たちの運動が弾圧されたのと、重なるものを感じています。

国家が戦争に近づくとき、まっさきにないがしろにされるのは、子どもと女性の人権だからです。

人権保障の声を上げる人が攻撃され、孤立させられ、市民の連帯が奪われていく。

このことに抗うつながりを、自分たちの手でつくっていかなければなりません。

問題は、政治だけではありません。

私たちが攻撃を受けた時、これを差別の問題だと気づけた人は、ごくわずかでした。

ターゲットが、女性だったからです。

そのことが、排外主義を広げようとする人たちに力を与えました。

女性への攻撃で成果を上げた政治家は、今、外国人差別を煽動しています。

運動の中でも、女性の人権、とくに性搾取の問題は、後回しにされてきました。

その中で傷つき、声を上げられなかった女性たちが、今日、ここにも、たくさんいることでしょう。

無意識のうちに、それを支えてきた人もいるでしょう。

この構造を変えるためには、

私たち自身が、そのことに気づき、変わる必要があります。

反省することは、恥ずかしいことではありません。社会を変える力になります。

私たちは、これまでの言動を省みる勇気を、持つべきではないでしょうか。

Colaboが、様々な暴力を浴びせられながら学んだのは、拠点が借りものであると、いつでもつぶしに来れるということです。

そこで、私たちは「女性人権センター」建設プロジェクトを立ち上げました。日本一、性搾取が深刻な街、新宿・歌舞伎町に、差別と暴力に抗う活動拠点を市民の手でつくろうと呼びかけています。

今日はブースも出しているのでぜひお立ち寄りください。

人権のために声を上げる人たちが、

苦しい状況に追いやられた人たちが、

孤立せず、支え合い、声を上げ続けることができる場所を、私たちの手でつくる。

その一人に、あなたにもなってほしいのです。

デモをあざ笑い、さまざまな手で、集会の自由を奪おうとする権力者たちがいます。

彼らは、私たちが集まり、護憲や反戦の想いを確認することを嫌がっています。私たちが一人ひとりに力があることに気づいていくことを、恐れています。

「性搾取許さない」の声が初めて憲法集会で掲げられた。

「性搾取許さない」の声が初めて憲法集会で掲げられた。

私たちがやるべきことは、明白です。

これからもつながり、私たちがここにいることを、示し続けようじゃありませんか。

今日、ここに、これまでにないほど、さまざまな年齢の、多様な人たちが集まりました。

これまで、長い間、声を上げ続けてくださったみなさんに感謝と、心からの敬意を表します。

そして、今、新たに声を上げ始めているみなさん、

勇気を出してくれて、ありがとうございます。

私たちは一人ではありません。一人ひとりの力を誇りましょう。

世代を超えてつながり、新たなうねりをつくっていきましょう。

声を上げたくても上げられない人たちや、今日ここに来る余裕を奪われている人たちのことも忘れずに、自分の言葉で、語り続けましょう。

憲法が掲げる理念を実現するのは、私たち一人ひとりです。

恐れずにつながり、おかしいことにはNOと言い続けましょう。

違いを恐れず、語り合い、戦争させない社会を共につくっていきましょう。

スピーチの後、たくさんの方が共感と連帯の声をかけてくださいました。ありがとうございます。

こちらに、憲法集会の報告、女性の連帯の様子を書いています。ぜひお読みください。

Colaboでは、女性差別に抗う女たちの活動拠点『女性人権センター』を市民の手で建設するため、10億円の寄付を呼びかけています。活動の応援もよろしくお願いします。

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