【対談公開|第8回(前編)】日本で評価される「女らしさ」が通用しないフランスから見る性差別 島岡まな×仁藤夢乃

女性人権センター建設に賛同する「1000人委員会」メンバーとの対談。島岡まなさんとの前編では、フランスでの経験から見えてきた日本社会の女性差別や、若さや幼さを性的に消費する文化、性暴力をめぐる法律、妊娠・出産を支える制度などについて語り合いました。「女らしさ」を求められてきた女性たちが、一人の人間として対等に生きられる社会にするために、法律や制度を変えることの意味を考えます。
仁藤夢乃 2026.09.27
誰でも

今回のゲストは、ジェンダー刑法学やフランス刑法を研究し、性暴力・性犯罪の問題に長年取り組んできた刑法学者の島岡まなさんです。

島岡さんは、Colaboについて印象に残ったこととして、私たちが活動を「支援」ではなく「当事者運動」と考えていることを挙げました。

「支援する側」と「支援される側」という関係には、強者と弱者という権力勾配が生まれることがある。一方、Colaboが大切にしているのは、「支援する・される関係でなく、共に考え、行動する」ことです。

対談ではそこから、日本社会で少女や若い女性たちが置かれている状況について話しました。

日本では、若さや幼さに性的な魅力や価値があるという価値観が社会にあふれています。

私自身も14、15歳の頃から、自分が性的に見られることは自分の価値なのだと思い込まされ、そういう振る舞いをさせられていたと思います。今出会う少女たちも、「25歳になったら終わり」と話すことがあります。

島岡さんは、若さや幼さがこのように性的消費の対象になる日本の状況について、フランスとの大きな違いを語りました。

そして、島岡さん自身も、フランスに渡ったことで、それまで身につけていた「女らしさ」がまったく通用しないという経験をしたといいます。

日本にいた頃は、女性は控えめで、愛想よく振る舞うことが評価されると思っていた。しかしフランスでは、年下の学生たちから「なぜそんなに後ろに立っているんだ」「声が小さい」「その態度は格好悪い」と言われた。

そこで初めて、「対等というのはこういうことなんだ」と実感し、自分の価値観や振る舞いが大きく変わったと話しました。

この話は、Colaboで活動する少女や若い女性たちの姿とも重なります。

性搾取や女性差別に対して「おかしい」と思っていても、ニコニコして座っていたり、自分の意見をはっきり言うことに戸惑ったりする。自分が何を考え、どんな意見を持っている人間なのかを考える機会自体をもつことがなく過ごしてきた女性たちもいます。

対談では、妊娠・出産をめぐる日本とフランスの違いについても話しました。

島岡さんが30年以上前にフランスで妊娠したとき、周囲から返ってきたのは、「おめでとう、でもあなたの自由よ」という言葉でした。

学生で収入がなくても妊娠・出産にかかる費用が公的に支えられ、産むか産まないかは本人が決めることだと言われたといいます。

一方、日本では今も、妊娠したことを親や学校に言えず、病院にも行けないまま、何週なのか、いつまで中絶できるのかもわからない少女たちがいます。中絶費用を用意できなかったり、臨月まで誰にも相談できなかったりする若年女性たちから、Colaboにも相談が寄せられています。

性教育についても、フランスでは幼い頃から行われています。性について教えず、タブーにするのではなく、知識を持ったうえで自分で選択できるようにするという考え方です。

こうした社会の違いは、人々の意識だけの問題ではありません。

島岡さんは、2023年の日本の刑法改正にも触れながら、「法律が変わることで、市民の意識も変わる」と話しました。

フランスでは2016年に買春者を処罰する制度が導入され、政治の場でも女性の割合を増やすための制度改革が行われてきました。裁判官の7割以上を女性が占める一方、日本では司法や政治の意思決定の場にいる女性は今も少数です。

女性自身の意識を変えることだけを求めるのではなく、女性が対等に生き、意見を持ち、自分の人生を選ぶことのできる社会にするために、法律や制度そのものを変えていく。

日本では当たり前になっていて気づきにくい女性差別を、フランスとの違いから考える対談になりました。

ぜひ前編をお読みください。

***

特別返礼品として、「性搾取に反対するフェミニスト(Feminists Against Sexual Exploitation)」Tシャツをご用意しています。受付は9月30日までです。

皆さまからのご支援が、虐待やDV、性搾取などの被害を受けた少女や女性たちが安心して過ごせる居場所と、回復を支える女性人権センターの実現につながります。

▽少女たちを追い詰める社会構造を変えるため、1日35円~活動を支えてください

Colaboへの寄付・活動支援はこちら
https://colabo-official.net/lp/donation.html

▽差別と暴力に抗う女性たちの活動拠点「女性人権センター」を市民の手で

性搾取の深刻な街、新宿・歌舞伎町に建設を目指しています。
https://colabo-official.net/projects/colabo_center.html

性売買の問題について、これからも現場で見てきたことや、女性たちの声を書いていきます。 よろしければ、無料の読者登録をして読んでいただけたら嬉しいです。

無料で「仁藤夢乃のニュースレター『女性差別に抗う』」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら

誰でも
2000年の性売買店の火災で亡くなった女性たちへ――性売買経験当事者ム...
誰でも
黙認と幇助の歴史を終わらせ、性売買処罰法の全面改正を成立させよ!――韓...
誰でも
【対談公開|第8回(後編)】女性の勇気がジェンダー不平等社会を変える―...
誰でも
【対談公開|第7回(後編)】「現場を知らない大人たち」の身勝手な偏見 ...
誰でも
性売買経験当事者の口をふさぐ「性売買処罰法」を、今すぐ改正せよ!――韓...
誰でも
【対談公開|第7回(前編)】「まずは知ることから」変化を導く連帯の拠点...
誰でも
【対談公開|第6回(後編)】仕組まれた分断を拒む「歌舞伎町の連帯の砦」...
誰でも
「つながった私たちは強い」――日韓の性売買経験当事者が、互いの人生を語...