2000年の性売買店の火災で亡くなった女性たちへ――性売買経験当事者ムムさんからの手紙
性売買防止法の施行から22年となる2026年9月21日、全国の性売買経験当事者や支援・運動に携わる人たちが、亡くなった女性たちを訪ねました。
以下は、大田の性売買経験当事者自助グループ「ハクナマタタ」のメンバーで、性売買経験当事者ネットワーク「ムンチ」の運営委員長を務めるムムさんが、亡くなった女性たちに宛てて読んだ手紙です。
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ムム|性売買経験当事者ネットワークムンチ運営委員長、大田・性売買経験当事者自助グループ「ハクナマタタ」
お姉さんへ
お姉さん、今年もお姉さんたちに会いに群山へ来ました。
毎年この場所に立つと、お姉さんたちの命や人生よりも、お金と利益を優先した社会のことを思い、今も悲しく、やるせない気持ちになります。
20年以上という長い時間が過ぎましたが、お姉さんたちの死が私たちに投げかけた問いは、まだ終わっていないように思います。
なぜ、お姉さんたちはそこから抜け出すことが難しかったのか。
なぜ、お姉さんたちの安全よりも、性売買をめぐるお金や利益が優先されてしまったのか。
なぜ、誰もお姉さんたちを守ることができなかったのか。
私たちは、まだその答えをすべて見つけられていません。
だから私たちは、その答えを見つけるまで、街頭に立ち続けます。
先週も、全国から活動家と当事者たちがソウルに集まり、
今こそ女性を処罰する法律を変えようと、ともに声を上げました。
女性を処罰する法律では、性売買と性搾取産業を止めることはできません。そして、女性を処罰しないことで初めて、女性たちはスティグマや恐怖に縛られることなく、自分自身の人生を選べるようになるからです。
私自身も、生き残るために一日一日を耐え抜いてきたからこそ、お姉さんたちの物語はいつも、自分自身の物語のように心の中で生き続けています。
あの頃の私は、なぜ自分がそこにいなければならなかったのか、なぜそこから抜け出すことが難しかったのかと問うよりも、ただ「自分が悪かったんだ」と思いながら生きていました。
けれど、ムンチの仲間たちと出会い、お互いの経験を語り合うなかで、少しずつわかるようになりました。
私が悪かったから、あのような人生を生きることになったのではない。
私一人で背負わなければならないことではなかった。
だからこそ、より切実に願っています。
誰もお金のために犠牲になることのない社会。
当事者たちが、自分の人生を自分自身で選ぶことのできる社会。
そんな社会が一日も早く訪れることを。
お姉さんの時間は2000年で止まっています。
けれど私は、性売買防止法ができたあとに性売買から抜け出し、2026年の今日を生きています。
歳を重ね、友だちと出会い、つらいときに頼ることのできる仲間もできました。
うれしい日には一緒に笑い、悲しい日には互いに肩を貸しながら、そんなふうに平凡な日常を積み重ねています。
私には今、**明日のことを考えられる時間があります。**
何を食べようかと悩んだり、誰に会おうかと考えたり、つらければ少し休んだり。
うれしいことがあれば、一緒に喜んでくれる人もいます。
そんな何気ない一日が、お姉さんたちにはもう訪れることがなかったのだと思うと、ふとした瞬間に胸が痛みます。
今日のような気持ちのよい季節を迎えると、なおさらお姉さんのことを思います。
お姉さんも私と同じように歳を重ねて、友だちとおしゃべりをして、おいしいものを食べて、一緒にこの季節を感じることができていたら、どんなによかっただろう、と。
お姉さんにも、きっとそんな平凡な明日があったはずなのに。
その「明日」のことを、私たちはあまりにも遅くなってから思い出しているのではないか、と思うこともあります。
お姉さんたちも、私たちと同じように、生きていきたいと願っていた人だったことを覚えていたいです。
好きなものがあって、嫌いなものがあって、会いたい人がいて、
生きてみたい明日があった人。
そんな一人ひとりの人生があったことを、忘れません。
お姉さん。
これからは、ただ申し訳なく思ったり、痛みを抱えたまま立ち止まったりするだけではいたくありません。
お姉さんたちを記憶しながら、私が生きている今日を、もっと大切に、健やかに生き抜いていきます。
そして、私が生きることのできる今日、この瞬間を、ただ過ぎ去らせたりはしません。
お姉さんたちも私たちと何も違わず、それぞれの明日を夢見ていた大切な一人の人間だったということを忘れません。
記憶するだけで終わるのではなく、お姉さんたちが経験せざるを得なかった苦しみと惨事が二度と繰り返されないように、私たちにできることを続けていきます。
法律を変え、構造を壊し、立ち止まることなく、最後までやり抜きます。
お姉さん、社会は確かに変わっています。
まだ足りないこと、変えられていないこともたくさんあります。
それでも今、当事者たちはもう隠れたり、沈黙したりすることなく、お互いの経験に耳を傾け、痛みをわかり合い、頼もしい仲間となって互いのそばにいます。
かつては「自分が悪かった」と思っていたことを、今では社会に問いかけています。
なぜ性を買う者や斡旋する者の存在は消され、性売買をする女性だけが非難されるのか。
そう、社会に向かって声を上げています。
私たちがともに声を上げ、歩調を合わせながら、ついには新しい道をつくり出していることに、私は希望を感じています。
来年も、その次の年も、忘れずにまた会いに来ます。
そして、私たちがどのように社会を変えているのか、
私たちがどれほどもっと堂々と連帯しながら生きているのか、
またお話しします。
お姉さん。
そこから、私たちの歩みを見守っていてください。
2026年9月21日
これまでの連載
韓国では今、性売買をした女性への処罰規定をなくし、「性売買処罰法」を全面改正することを求める運動が全国に広がっています。日本でも売春防止法の見直しが議論される今、韓国の女性たちがなぜ「女性を処罰するな」と訴えているのか、当事者の声を紹介しています。
日韓・性売買経験当事者の連帯
現在、女性人権センター建設プロジェクト第2回寄付キャンペーンを実施しています。
特別返礼品として、「性搾取に反対するフェミニスト(Feminists Against Sexual Exploitation)」Tシャツをご用意しています。受付は9月30日までです。

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