買春処罰の議論が始まった今、問いたい「性売買を固持する権力」
本日8月29日、新刊『性売買を固持する権力――少女たちの性が「買われる」現場から』が新日本出版社から発売されました。

この本には、私が少女たちと出会うなかで、目の前で起きていることについて「おかしい」と声をあげ、書いてきた文章を編集のうえ、収録しています。
JKビジネス、性売買、ホストクラブ、性風俗産業、行政や福祉、女性差別や性暴力――扱っている出来事はさまざまですが、私たちはずっと同じことを問い続けてきました。
なぜ、問われるのはいつも少女や女性の側なのか。
家にいられず街に出れば、「なぜ家に帰らないのか」。
性搾取の被害にあえば、「なぜそんな人についていったのか」「なぜ逃げなかったのか」。
性売買のなかにいれば、「なぜ性を売るのか」「自分で選んだのではないか」。
少女や女性たちには、その行動について理由や責任が求められます。
一方で、少女や女性を買う人、利用する人、そこから利益を得る人たちは、同じようには問われてきませんでした。
なぜ少女や女性の性をお金で買うのか。
誰が女性を性売買へ送り込み、誰がそこから利益を得ているのか。
なぜ、女性には性を売らずに生活するという実質的な選択肢が保障されていないのか。
私たちはこのことを社会に問い続けてきました。
「性売買を固持する権力」とは何か
本のタイトルにある「権力」とは、国家や政治だけを指しているのではありません。
少女や女性を買う人。女性を商品にして利益を得る業界。性売買を「ビジネス」や「本人の選択」として正当化する言説。問題を矮小化したり、見えなくしたりするメディア。現状維持を優先する政治や行政。そして、「昔からある」「仕方がない」「本人が選んだこと」として見過ごす社会。
そうしたさまざまな力が重なり合い、性売買を支え、維持しています。
本書では、「性を売る女性」を問題にするのではなく、少女や女性の性が「買われる」ことを可能にしている社会の側を問い直しています。
この本をまとめていた2026年春、政府が買春処罰の導入に向けた議論を始めました。
これまで売る側の女性ばかりが処罰され、買う側の責任が問われてこなかったことを考えれば、買春処罰が具体的に議論されるようになったこと自体は前進です。
しかし、この数か月の議論を見ながら、「性売買を固持する権力」というタイトルをつけた意味を改めて感じています。
買う側にも罰則を設ければ、それで問題が解決するわけではありません。
買われる側の女性を処罰せず、買う側や性売買から利益を得る側の責任を問うこと。性売買から離れたい女性が、住まいや生活、医療、教育、仕事などを保障され、性を売らなくても生きていける選択肢を持てるようにすることが必要です。本書でも、買春者や業者への処罰と、女性の非処罰、生活保障を基盤とした脱性売買支援の必要性を書いています。
さらに問わなければならないのは、
なぜ、女性の性を買うことのできる社会が、これほど長く維持されてきたのか。
ということです。
この本で伝えたかったのは、「性を売る女性をどうするか」という話ではありません。
少女たちの行動を問う前に、少女たちを追い詰め、買い、利用し、そこから利益を得ながら、それを当たり前のものとしてきた社会の側を問いたい。
性売買を固持しているのは誰なのか。
そして、私たちはそれをどう変えていくのか。
今、性売買をめぐる法律のあり方が改めて問われているときだからこそ、この本を多くの方に読んで、一緒に考えてもらえたらと思っています。
『性売買を固持する権力――少女たちの性が「買われる」現場から』、本日発売です。
『性売買を固持する権力
――少女たちの性が「買われる」現場から』
仁藤夢乃 著/新日本出版社
定価1,760円(税込)
2026年8月29日発売
書店に並べてもらえるように、ぜひ書店でのご予約をお願いします!
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特別返礼品として、「性搾取に反対するフェミニスト(Feminists Against Sexual Exploitation)」Tシャツをご用意しています。受付は9月30日までです。

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