「性売買がなくならない理由は、本当に女性たちのせいなのでしょうか?」韓国の性売買経験当事者の声①
釜山・性売買経験当事者自助グループ「ナリナティ」 ペクチ
こんにちは。私は釜山の性売買経験当事者自助グループ「ナリナティ」で活動しているペクチです。
今日私は、性売買女性を処罰するのではなく、被害と搾取の現実を正しく見つめ、性売買女性に対する処罰条項を削除する「性売買処罰法」の全面改正を求めて発言します。
私は性売買から抜けて20年以上になります。
20年前もそうでした。そして今もそうです。人々は性売買を経験した女性たちにこう尋ねます。
「なぜ入ったの?」
「なぜ出られなかったの?」
「なぜついて行ったの?」
「なぜ抵抗しなかったの?」
「なぜ通報しなかったの?」
私は逆に問いたいです。
それなら、被害者を搾取した人たちには、なぜ問わないのでしょうか。
なぜ搾取したのですか?
なぜ性を買ったのですか?
なぜ女性の困難や脆弱な状況を金儲けに利用したのですか?
なぜ人の身体と人生を、お金で買うことができると思ったのですか?
性売買女性にはあれほどたくさんの「なぜ」を問いながら、買春者や斡旋者には、なぜ同じ問いを投げかけないのでしょうか。
人々はまた、こう言います。
「売る人がいるから、買う人がいるんじゃないか!」
それなら、この世に商売に失敗する店など一軒もないはずです。
売る人がいるからといって、必ず買う人が生まれるわけではありません。
私はもう、「売る人がいるから買う人がいる」という、そんな荒唐無稽な言葉を聞くことにも疲れました。
自分自身を売りたいから売る人など、誰もいません。
私もまた、売らざるを得ないようにつくられた構造の中にいたから、売らなければなりませんでした。
何の薬かも分からない薬や酒に頼ってまで、性搾取に耐えなければなりませんでした。
毎日、脅迫と恐怖の中で震えながら生きなければなりませんでした。
本当は、「生きていた」という言葉さえ、自分自身を欺く言葉なのかもしれません。
自分が望むように生きることもできませんでした。
自分が望むときに、そこを離れることもできませんでした。
斡旋者たちに金を稼がせるために、私の身体だけでなく、人生そのものをつかまれていました。
それなのに、人々は言います。
「自分の足で入ったんでしょう」
「誰かに無理やり連れて行かれたの?」
「今は昔とは違うでしょう」
いったい何が、それほど変わったのでしょうか。
今は昔のように、人を拉致して連れて行ったり、鉄格子をつけて監禁したりするわけではない、と言います。
女性たちがインターネットを見て自分でそこへ行き、自分で店の扉を開けて入ることもあるから、「自発的」なのだと言います。
しかし、自分の手で扉を開けたからといって、その中で行われる搾取まで自発的になるわけではありません。
業者が扉に鍵をかけていないからといって、自由であるわけでもありません。
借金や経済的困難、行く場所がない状況、暴力を受けた経験、家族や社会からの孤立、斡旋者による支配や脅迫は、人をいくらでも動けない状態にすることができます。
監禁の方法が変わったからといって、搾取がなくなったわけではありません。
むしろ現在の性売買産業は、さらに巧妙になっています。
買春はオンラインやさまざまなプラットフォームを通じて、より簡単に行われるようになり、性売買産業は姿を変えながら生き残り続けています。
それなのに、今も女性に問います。
「なぜそこにいたのか」と。
もう、問いを変えなければなりません。
なぜ、これほど多くの男性が、女性の身体を金銭で買い続けているのでしょうか?
なぜ、女性の身体を売って利益を得る斡旋業者が、存在し続けることができるのでしょうか?
なぜ性売買産業は、絶えず新たな女性を探し出し、その困難につけ込んで利益を得ることができるのでしょうか?
もう一度、問います。
性売買がなくならない理由は、本当に女性たちのせいなのでしょうか?
女性がいるから性売買が維持されているのではありません。
性を買う需要があり、その需要を利用して利益を得る斡旋と搾取の構造があるからこそ、性売買産業は維持され続けているのです。
それなのに、国家はなぜ今も、その構造の中に置かれた女性まで処罰するのでしょうか?
被害者が、自分がどれほど強要され、どれほど脅迫され、どれほど逃れることができなかったのかを証明して、初めて被害者として認められるような制度であってはなりません。
もう法律が変わらなければなりません。
性売買女性に「なぜ売ったのか」と問い、処罰する法律ではなく、
買春者に「なぜ買ったのか」と問い、
斡旋者や搾取者に「なぜ人の身体と人生を利用して金を稼いだのか」と責任を問う法律にしなければなりません。
性売買をなくしたいのであれば、女性を処罰するのではなく、買春需要を減らし、斡旋と搾取の構造を断ち切らなければなりません。
そして、その中を生き延びた女性たちが、処罰されることを心配せずに助けを求め、安全にそこを離れ、もう一度生きていけるようにしなければなりません。
私は20年以上が経った今も、同じ話をしています。
もう、本当に変わらなければなりません。
性売買女性に対する処罰条項を削除し、買春、斡旋、搾取に明確な責任を問う「性売買処罰法」へ全面改正してください。
ありがとうございました。
▼2025年6月にColaboが開催した「性売買問題を考えるシンポジウム」では、ペクチさんを含むナリナティのメンバー4名が来日し、性売買の中で経験したことや、そこから離れた後の人生、当事者として声を上げることについて語ってくれました。
そのときのシンポジウムの動画はこちらからご覧いただけます。
性売買問題を考えるシンポジウム第1回「性売買の現実を変えるために」
【連載|韓国の性売買経験当事者たちの声】
韓国では今、性売買をした女性への処罰規定を削除し、「性売買処罰法」を全面改正することを求める運動が全国に広がっています。
この連載では、法改正を求めて韓国各地で声を上げた性売買経験当事者の女性たちの発言を、一人ずつ紹介しています。
現在、女性人権センター建設プロジェクト第2回寄付キャンペーンを実施しています。
特別返礼品として、「性搾取に反対するフェミニスト(Feminists Against Sexual Exploitation)」Tシャツをご用意しています。受付は9月30日までです。

皆さまからのご支援が、虐待やDV、性搾取などの被害を受けた少女や女性たちが安心して過ごせる居場所と、回復を支える女性人権センターの実現につながります。
ご支援はこちらからお願いいたします。
▽少女たちを追い詰める社会構造を変えるため、1日35円~活動を支えてください
Colaboへの寄付・活動支援はこちら
https://colabo-official.net/lp/donation.html
▽差別と暴力に抗う女性たちの活動拠点「女性人権センター」を市民の手で
性搾取の深刻な街、新宿・歌舞伎町に建設を目指しています。
https://colabo-official.net/projects/colabo_center.html
性売買の問題について、これからも現場で見てきたことや、女性たちの声を書いていきます。 よろしければ、無料の読者登録をして読んでいただけたら嬉しいです。
すでに登録済みの方は こちら