「女性処罰から性搾取構造の変革へ」――韓国の性売買経験当事者の声③
全北・性売買経験女性自助グループ「キッシングラミ」 バラ
こんにちは。
全北の性売買経験女性自助グループ「キシングラミ」で、「バラ」という活動名で活動しています。
「キシングラミ」は、性売買を経験した女性たちが集まり、自分の経験を分かち合い、互いに頼れる支えとなる自助グループです。
私たちは、なぜ性売買に入らざるを得なかったのか、なぜそこから抜け出すことがあれほど難しかったのかを、一緒に見つめ直し、捉え直しています。
最初は、自分自身の選択であり、自分の過ちなのだと思っていました。自分で自分の人生を壊してしまったのだと、自分を責め続ける長い時間がありました。
しかし、お互いに性売買の経験を語り合うなかで、分かったことがあります。
性売買に至ることは、決して個人の選択と責任だけでは説明できないということです。
今、私たちは性売買を個人の問題ではなく、「性搾取構造」の問題として捉えています。
そして沈黙を破り、性売買を容認する社会に立ち向かいながら、自分たちの経験を語る活動をしています。
今日、私たちが性売買処罰法の全面改正を求める理由も、まさにここにあります。
しかし、今日この場に立つことさえ、性売買経験当事者である私には勇気が必要でした。
当事者である私たちが顔を出して連帯し、意見を伝えたいと思っても、法律と社会によって負わされたスティグマが、今も私たちの前に立ちはだかっているからです。
それでも私たちが語り続けるのには理由があります。
性売買・性搾取のない全北は実現できると信じているからです。
おそらく、ここにいる皆さんは、かつて全州にあった性売買集結地「ソンミチョン」を覚えているでしょう。
かつて赤い灯りがともる性売買集結地だったその場所は、今では「ジェンダー平等の全州」を象徴する空間へと変わりました。
性売買が当たり前とされていた場所を、女性の人権と文化・芸術を中心に据え、市民・行政・民間がともに変えてきました。
ソンミチョンは長い間、男性のための空間として性搾取が蔓延する暴力の現場でした。しかし今では、誰もが歩くことのできる人権の空間となりました。
もしかすると、今育っている子どもたちにとって「ソンミチョン」は、これからは歴史の本や記録の中でしか出会わない名前になるのかもしれません。
それほどまでに、全州は大きな変化をつくり出しました。
私たちはその変化を実際に経験しました。だから知っています。
性売買が当たり前とされていた場所であっても、私たちみんなの力で変えることができるということを。
しかし、ソンミチョンがなくなった今も、全州の各地には性売買と性搾取の現実が残っています。
アジュンリ、中華山洞、革新都市、新市街地など、人が集まる場所、男性が集まる場所には、今も性売買業者が存在しています。南部市場近くのソンファチョンの旅館・簡易宿泊所が並ぶ路地でも、性売買は続いています。
場所や形態は変わっても、女性たちが性搾取に置かれている現実は変わっていません。
ソンミチョンに可能性を見いだしたように、今度は全北各地に残っているこの現実をどう変えていくのかを、私たちは話さなければなりません。
そして、この変化をつくるためには、まず法律と制度が変わらなければなりません。
現在の性売買処罰法は、性売買を経験した女性たちを処罰しています。
女性たちは、処罰への恐怖と社会的なスティグマのため、自らの経験を簡単には語ることができません。
しかし、女性たちの声が消された場所では、性売買の現場の現実も正しく見えなくなります。
それが、私たちが今置かれている現実でもあります。
性売買の現場を正しく理解するためには、そこで生きてきた女性たちの話を聞かなければなりません。
なぜそこにとどまらなければならなかったのか。
なぜ抜け出すことが難しかったのか。
何が必要だったのか。
当事者の声を通して、現実を正しく見なければなりません。
現在の性売買処罰法は、女性にその責任を問うています。
しかし、性売買を経験した女性たちを処罰することで、性売買の構造を変えることはできません。
これから必要なのは、女性に責任を問う法律ではなく、性売買を可能にし、それを維持している構造を変える法律です。
性売買をしなくても生きていける条件をつくることは、国家の責任です。
貧困や脆弱な環境のために性売買を選ばなくてもよい社会をつくるために、国家が率先して取り組まなければなりません。
性売買防止法が施行されてから、今年で22年になります。
群山の性売買業所火災惨事で女性たちが犠牲となった現実を変えるためにつくられた法律でした。
性売買を防止し、性売買の状況に置かれた女性たちの人権を守るための法律でした。
しかし、法律がつくられた本来の趣旨とは異なり、現在の性売買処罰法は、今も性売買を経験した女性たちを処罰しています。
女性の人権を守るべき法律が、逆に女性に責任を負わせ、処罰とスティグマを残しているのです。
施行から22年となった今、この法律が誰を守り、誰に責任を負わせているのかを、もう一度問わなければなりません。
私にとって、全州ソンミチョンの変化は、涙が出るほど胸を打たれるものでした。
性売買が当然のこととされていた空間がなくなり、その場所に女性の人権と文化、芸術が息づいていく姿を見ながら、人が力を合わせれば社会を変えることができるのだという希望を得ました。
私が搾取され、私の仲間たちが搾取されていたその場所を、暗い夜に打ち勝つような白い灯りが照らし、みんなでその通りを歩き、共に過ごした、きらきらと輝いていたあの夜を。
あの日の連帯を、私は一生忘れることはないでしょう。
だから私は信じています。
今の現実も、法律も制度も、変えることができます。
性売買処罰法がきちんと改正されれば、ソンミチョンから始まった変化を、全州のさまざまな場所へ、さらに広げていくことができると思います。
そして、全州でつくり出した変化が、全国各地にも新たな変化を生み出していくと信じています。
私は、性売買を経験した女性たちが、処罰やスティグマのために自分の経験を隠さなくてもよい社会を望んでいます。
性売買が当たり前のものとされず、女性が貧困や脆弱な環境のために性売買を選ばなくてもよい社会を望んでいます。
性売買処罰法の全面改正が実現するまで、全北・性売買経験女性自助グループ「キッシングラミ」も最後までともに歩んでいきます。

2022年にColaboと日本の性売買経験当事者ネットワーク「灯火」が参加した女性処罰法改正キャンペーンのデモにて。
【連載|韓国の性売買経験当事者たちの声】
韓国では今、性売買をした女性への処罰規定を削除し、「性売買処罰法」を全面改正することを求める運動が全国に広がっています。
この連載では、法改正を求めて韓国各地で声を上げた性売買経験当事者の女性たちの発言を、一人ずつ紹介しています。
▶︎ 当事者の声①|釜山・ペクチさん
「性売買がなくならない理由は、本当に女性たちのせいなのでしょうか?」
▶︎ 当事者の声②|仁川・ジョシさん
「変えなければならないのは性売買女性ではなく、性搾取を持続させる構造」
現在、女性人権センター建設プロジェクト第2回寄付キャンペーンを実施しています。
特別返礼品として、「性搾取に反対するフェミニスト(Feminists Against Sexual Exploitation)」Tシャツをご用意しています。受付は9月30日までです。

皆さまからのご支援が、虐待やDV、性搾取などの被害を受けた少女や女性たちが安心して過ごせる居場所と、回復を支える女性人権センターの実現につながります。
ご支援はこちらからお願いいたします。
▽少女たちを追い詰める社会構造を変えるため、1日35円~活動を支えてください
Colaboへの寄付・活動支援はこちら
https://colabo-official.net/lp/donation.html
▽差別と暴力に抗う女性たちの活動拠点「女性人権センター」を市民の手で
性搾取の深刻な街、新宿・歌舞伎町に建設を目指しています。
https://colabo-official.net/projects/colabo_center.html
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