「変えなければならないのは性売買女性ではなく、性搾取を持続させる構造」――韓国の性売買経験当事者の声②
ジョシ|仁川・性売買経験当事者自助グループ「ポッタリ」
こんにちは。私は「人権希望カンガンスルレ」(仁川で性売買・性搾取被害を受けた女性や子ども・若者を支援している団体)の性売買経験当事者自助グループ「ポッタリ」で活動しているジョシです。
性売買追放週間を迎え、性売買を経験した当事者として、社会にどうしても伝えたいことがあり、今日ここに立ちました。
私は約10年間、性売買の現場にいました。性売買から抜けてからは、すでに10年以上が経ちました。
長い時間が経ちましたが、私が感じる限り、性売買女性に対する社会の偏見やまなざしは、今も変わっていないように思います。
「楽にお金を稼ぎたかったから」
「ブランド品や贅沢が好きだから、性売買を選んだんでしょう」
今も性売買女性について簡単に語り、あまりにも簡単に判断してしまいます。
しかし、私が経験した性売買の現場は、ほんの数言で簡単に説明できるような場所では決してありません。
私の場合、性売買は、生計や借金、家族の問題、そして暴力や不安定な環境から始まりました。
性売買に入っていく過程も、そこから抜け出すことが難しかった理由も、女性一人ひとり異なります。
それにもかかわらず、私たちの社会は、その複雑な過程や過酷な現実を見るのではなく、性売買の問題を女性個人の道徳的な問題として片づけてきました。
「自分で選んだんでしょう?」
「なぜ出てこなかったの?」
私は今、こうした問いの方向そのものを完全に変えなければならないと思っています。
なぜそこへ行ったのかを問いただす前に、何が女性たちを性売買の現場へ追いやっているのか。何が、そこから抜け出すことを妨げているのか。
そこを見なければなりません。
そうして初めて、性売買を個人の過ちではなく、女性が置かれた脆弱な状況につけ込み、搾取する「構造の問題」として見ることができます。
現在の性売買処罰法は、性売買行為をした者を処罰することを原則としながら、法律で定められた「性売買被害者」に該当する場合には処罰しないという仕組みになっています。
つまり、性売買の現場にいた女性は、自分が法律の定める「性売買被害者」に該当することを、自ら立証し、認められて初めて処罰を免れるという構造です。
この法律の仕組みが、性売買の現場の複雑な現実を本当に捉えることができているのか、改めて考えなければなりません。
さらに、この仕組みそのものが、女性たちにとって新たなスティグマや壁になっているのではないかと、私は問いたいです。
法律が施行されてから22年間、性売買女性を処罰することで、性売買の問題は解決したのでしょうか?
性売買の現場には、性を買う買春者と、その場をつくる斡旋者がいます。そして、その過程で莫大な利益を得る者たちが存在します。
それにもかかわらず、私たちの社会は、性売買問題の責任を女性個人に負わせてきました。
最近、仁川では複数のオフィステルを借り、組織的に性売買を斡旋していた一味が摘発される事件がありました。
警察が確認した斡旋件数だけでも約9,000件、犯罪収益は約17億ウォンにのぼるとされています。
数千件もの性売買を斡旋し、莫大な利益を得る巨大なカルテルが動いている間、私たちの社会はいったい誰に責任を問うていたのでしょうか。
性搾取を可能にする構造を壊すことよりも、性売買女性を処罰することのほうが簡単だったのではないでしょうか?
女性が処罰されれば、社会的なスティグマや偏見によって、普通の日常生活に戻ることが難しくなります。
それどころか、処罰によって科された罰金を支払うために、再び性売買の現場へ追いやられるという悪循環が繰り返されていることを、私たちの社会は知っているのでしょうか。
私は苦労して性売買から抜けました。
しかし、現場を離れたからといって、すべての困難が一度に終わるわけではありませんでした。
暮らす場所を確保しなければなりませんでした。仕事を探さなければなりませんでした。経済的に自立するために、日常生活や人との関係を一からつくり直さなければなりませんでした。
性売買の現場にいる間に社会から断絶していた自分の人生を現在につなぎ直すことも、この社会の普通の一員として受け入れられることも、あまりにも高い壁でした。
それでも私は、性売買から抜けることができたこと、そして今、性売買から離れた人生を生きていることに感謝し、幸せを感じています。
しかし、この幸せが、私だけに起きた奇跡や、単に運が良かったから得られた結果であってはなりません。
だから私は今日、この場で自分の経験を語る勇気を出しました。
もちろん、私の経験が他の女性たちの人生を代表するものではないことは、よく分かっています。
しかし、一つだけはっきり言いたいことがあります。
性売買の現場から抜けたい人がいるなら、処罰されることや生活できなくなることを恐れてためらうことなく、そこから出られなければなりません。
そして、苦労して現場を離れた人が、再び性売買の現場へ戻らなくても生きていける社会にしなければなりません。
そのためには、現行法を全面的に改正しなければなりません。
性売買処罰法から、性売買女性を処罰する条項を必ず削除しなければなりません。
性売買の責任を女性個人に負わせるやり方から脱却し、性を買う人、性売買を斡旋する人たちに責任を問わなければなりません。
法律が変われば、韓国社会の市民の意識も変わっていくでしょう。
法律と制度が変われば、私たち当事者もスティグマや偏見を受けることなく、社会の一員として自分の役割を果たしながら生きていくことができるでしょう。
私たちは、性売買女性を処罰する方法では、決してこの問題を解決できないことをよく知っています。
私たちが今すぐ壊さなければならないのは、誰かの苦しみや脆弱な状況を搾取することで成り立っている、性売買の構造そのものです。
性売買女性を処罰する条項を削除し、買春者と斡旋者に厳格な責任を問う法改正が実現するまで、私たちは止まりません。
誰もスティグマを押しつけられず、誰も性搾取の対象とされない平等な社会のために、性売買処罰法の全面改正を強く求めます。
ありがとうございました。
【連載|韓国の性売買経験当事者たちの声】
韓国では今、性売買をした女性への処罰規定を削除し、「性売買処罰法」を全面改正することを求める運動が全国に広がっています。
この連載では、法改正を求めて韓国各地で声を上げた性売買経験当事者の女性たちの発言を、一人ずつ紹介しています。
▶︎ 当事者の声①|釜山・ペクチさん
「性売買がなくならない理由は、本当に女性たちのせいなのでしょうか?」

2022年にColaboと日本の性売買経験当事者ネットワーク「灯火」が参加した女性処罰法改正キャンペーンのデモにて。
現在、女性人権センター建設プロジェクト第2回寄付キャンペーンを実施しています。
特別返礼品として、「性搾取に反対するフェミニスト(Feminists Against Sexual Exploitation)」Tシャツをご用意しています。受付は9月30日までです。

皆さまからのご支援が、虐待やDV、性搾取などの被害を受けた少女や女性たちが安心して過ごせる居場所と、回復を支える女性人権センターの実現につながります。
ご支援はこちらからお願いいたします。
▽少女たちを追い詰める社会構造を変えるため、1日35円~活動を支えてください
Colaboへの寄付・活動支援はこちら
https://colabo-official.net/lp/donation.html
▽差別と暴力に抗う女性たちの活動拠点「女性人権センター」を市民の手で
性搾取の深刻な街、新宿・歌舞伎町に建設を目指しています。
https://colabo-official.net/projects/colabo_center.html
性売買の問題について、これからも現場で見てきたことや、女性たちの声を書いていきます。 よろしければ、無料の読者登録をして読んでいただけたら嬉しいです。
すでに登録済みの方は こちら