法務省「売買春に係る規制の在り方検討会」に、売春防止法の「保護法益」に関する意見書を提出しました。

法務省「売買春に係る規制の在り方検討会」に、売春防止法の保護法益に関する意見書を提出しました。売春防止法の保護法益を「善良の風俗」から女性の人権・尊厳へと転換し、性売買を人権侵害・性搾取として位置づける法制度への見直しを求めています。
仁藤夢乃 2026.06.25
誰でも

現在、法務省では買春処罰導入に向けた議論が進められています。Colaboはこれまで、買春処罰とあわせて、売る側の非処罰化や脱性売買支援を含めた法整備の必要性について意見書を提出してきました。

検討会では、性売買の問題が「景観」や「公然迷惑性」の問題として議論されていることから、今回は、売春防止法が何を守るための法律なのかという「保護法益」の問題について、追加で意見を提出しました。

売春防止法第1条には、「売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗を乱すものである」と定められています。しかし、これまで保護法益として「性道徳」や「社会の善良の風俗」が重視されてきたことが、性売買を経験した女性への偏見や処罰を支えてきました。

今回提出した弁護士・角田由紀子さんによる意見書は、売春防止法の保護法益を歴史的・法的な観点から整理し、「善良の風俗」ではなく女性の人権・尊厳を保護法益として捉え直す必要性を論じています。また、売る側を処罰するのではなく脱性売買支援を充実させること、そして買春者を処罰することが女性の尊厳の回復に不可欠であることを示し、現在の法改正の議論を考えるうえで重要な視点を提示しています。ぜひこちらから全文をご覧ください。

スウェーデン、フランス、カナダ、韓国などでは、性売買を女性への暴力や人権侵害、ジェンダー平等の問題として位置づける法制度への転換が進められています。そのことは、7月5日発売の「地平」の連載『歌舞伎町で。』にも書きました。

日本でも、売春防止法の保護法益そのものを見直し、女性の人権を中心に据えた法制度への転換が必要です。

各意見書のポイント

売春防止法の保護法益について(2026年6月25日)

  • 売春防止法の保護法益を「善良の風俗」から女性の人権・尊厳へ転換することを提言

  • 性売買を女性に対する人権侵害・性搾取として位置づける法制度への見直しを求める

  • 売る側の処罰ではなく、脱性売買支援と買春者処罰の必要性を提言

日本における買春と若年女性に対する性搾取の実態、法的課題と政策提言(2026年5月27日)

  • 歌舞伎町15年間の支援活動から見える性搾取の実態を報告

  • 買春処罰、売る側の非処罰化、脱性売買支援を一体で進める法制度を提言

  • 風営法を含め、性売買で利益を得る業者への規制強化を提言

  • 若年女性への支援体制の構築と、公的機関・教育現場での取り組み強化を提言

買春処罰と同時に、売春の非処罰化と脱性売買支援を含めた法制定を求めます(性売買経験当事者ネットワーク灯火・2026年5月27日)

  • 性売買経験当事者が、自らの経験をもとに意見を表明

  • 買春者処罰と同時に、売る側の非処罰化と脱性売買支援を求める

  • 性売買を「自己責任」ではなく、女性差別や貧困、性搾取の構造の問題として捉えることを提言

  • 性売買を経験した女性が尊厳をもって生きられる社会への転換を求める

【6/30まで配信】朝日新聞・記者サロン対談動画『買春は暴力 変わるフランス、日本は』

大阪大学教授の島岡まなさんと朝日新聞の大貫記者と共に、性売買問題と必要な施策について対談した動画が6/30までこちらで公開中です。ぜひご覧ください。

売春のための客待ちをしたとして、路上に立つ女性たちの摘発が相次いでいます。

客を「勧誘した」として売春防止法が売る側を処罰の対象としているためです。

フランスは2016年、買春を「暴力」と位置づけ、売る側を非犯罪化し、買う側に罰則を科す「買春処罰法」を制定しました。

1956年の売防法制定から70年、日本でも高市早苗首相が規制のあり方の見直しを法相に指示する動きも出ています。

フランスの現場から見える日本の課題や問題点を探ります。

性売買の問題について、これからも現場で見てきたことや、女性たちの声を書いていきます。 よろしければ、無料の読者登録をして読んでいただけたら嬉しいです。

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