『性産業守る国』を変えるために――赤旗の報道
現在、法務省では売春防止法の見直しに向けた検討会が行われています。しかし検討会では、性風俗産業への影響を懸念する意見が繰り返され、女性や少女への性搾取や人権侵害をどうなくすのかという視点が十分に議論されていません。

法務省の検討会では、売防法改定による「買う側」への処罰導入などを議論しています。「買う行為」への処罰導入には、複数の委員から「性産業の損失」を危惧する意見が相次ぎ、処罰の規定まで議論及んでいません。
検討会のヒアリングで発言した性風俗業の顧問弁護士は、「買う側」を処罰すれば客が萎縮して店に来なくなり、多くの失業者を生むなど、性産業の『甚大な損失』になると訴えました。
記事では、性売買経験当事者ネットワーク灯火(とうか)のメンバーが「検討会が性売買を女性に対する人権侵害として捉えた議論をせず、私たちの声が反映されていない」とコメントしています。
また、「性産業の規制は検討会の論点にすらならなかった。性売買の多くが性風俗店などで行われている。「検討会委員には、性風俗店で『買う側』が求める非人道的な行為の数々を直視してほしい。性売買は『ビジネス』ではありません」という私のコメントが紹介されています。
私たちは「買う側」の処罰導入、「売る側」の非処罰化、そして性売買から抜け出すための支援の構築と同時に、性売買を合法化する風営法の改正を求めています。 ▼意見書はこちら
性売買を「ビジネス」としてではなく、女性や少女への暴力・人権侵害として捉え、制度を変えていくこと。そのために、これからも声を上げていきます。
「女性の人権なんて視点は0だったのね。」
角田由紀子さんは、売春防止法についてそう語ります。
法律ができた1956年、日本は国際社会へ復帰するため、「買春天国」と言われるような状況ではまずいという事情があり、売春防止法の制定は体裁を整える意味合いがありました。
そのため、この法律には、性売買の中にいる女性がどんな暴力を受け、どんな背景があり、どんな状況に置かれているのかという視点はありませんでした。
その歴史から、なぜ長い間、女性ばかりが取締りの対象になってきたのか。
なぜ買う側の責任は問われにくかったのか。その背景も見えてきます。
売春防止法は「売春女性が社会の風俗を乱している。」という視点で、女性たちを取り締まってきました。
そう考えていたのは男性たちだけでなく、妻たちも、女性の国会議員も『うちのお父ちゃんが引っかからないように、あの女を何とかしてくれ』と女性の処罰を望んでいたとのこと。
日本社会の中で、性売買が女性の責任問題・非行問題として語られるのは、そうした「常識」のなかで私たちが生きてきたからです。
角田さんとの対談動画をぜひご覧ください。
▼【『知は力』知識を共有し差別に抗うために】角田由紀子×仁藤夢乃
「性売買は女性への暴力であり、人権侵害である。」
フランスで買春者処罰法の成立を先導した元国会議員のモード・オリビエさんは、対談の中で、この考え方こそが法律の出発点だと話しました。
性売買は、お金が支払われているからといって、対等な契約になるわけではありません。
経済的困窮や虐待、性暴力、差別など、さまざまな背景によって追い込まれた女性たちが多く存在します。その現実を見ずに、「本人が選んだ仕事」と片付けることはできません。
だからフランスでは、売る側の女性ではなく、買う側の責任を問います。
処罰の対象は、性行為を買う男性です。そして、性売買の中にいる人には、住居や生活、就労などを含めた離脱支援を行います。
「女性を処罰する」のではなく、「女性が搾取されない社会をつくる」。
それがフランスの法律の考え方です。
一方、日本では今も「自己責任」「本人が選んだこと」という言葉で、性売買の問題が語られる場面が少なくありません。
しかし、本当に自由な選択だったと言えるのでしょうか。
私たちは、性売買を女性への暴力・人権侵害として捉え直し、女性を責める社会ではなく、搾取する側の責任を問う社会へと変えていく必要があります。
女性人権センター建設プロジェクトでは、こうした世界の実践から学び、日本で必要な制度について考えるための対談を公開しています。
▼【性売買は「仕事」ではなく、人権侵害――フランスが買春者を処罰する理由】モード・オリビエ×仁藤夢乃
▼対談記事はこちら
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